コラム 自然はたからもの
~自然はたからもの~
鎌倉材木座海岸の和賀江島は日本最古の築港の跡で、鎌倉時代の1232年に作られ、大潮とその前後の干潮時にだけ、姿を現します。
大切な史跡であることはもちろんですが、海の生物たちにとっても、大切な場所(海域)といえるのです。生物が育つ環境に恵まれた和賀江島は、さまざまな水中生物の産卵場となっている上、ここで産まれ育った生物のみならず、はるか沖縄の海域から黒潮に乗ってやって来た生物たちも観察することができます。
磯の生物観察のコツは、まずしゃがんでじっと見つめることです。水面下の生物を観察する場合は、水面の反射や水の動きなどに目を慣らす必要があるため、最低でも3分は、じっとしゃがんで見てください。
そうすると、和賀江島の主人公(?)イソスジエビや、とても美しい模様のアシナガスジエビ、ホンヤドカリをはじめ、紅色が実に見事なベニホンヤドカリ、そしてイワガ二、イソガニに加えオウギガ二やガザミの仲間など、多くの種類のカニたちが見えてきます。転石などの下にすむイソテッポウエビを見つけたり、そのハサミが出すカチッという音を聞けるようになったら、もう観察の達人です。
和賀江島では、マダコやミミイカ、ヒラメ、ハゼ、ギンポ、フグやカワハギの仲間はもちろん、サメの稚魚やアオリイカの卵も普通に見られ、イシガキダイの幼魚やタツノオトシゴも観察されています。
こんな楽しい磯遊びをしていると、豊かな鎌倉の海への驚きとともに、山や川、そして森のことなども気になってきます。
武本 匡弘
※鎌倉市広報連載記事”自然はたからもの”での、筆者の記事「和賀江島で磯あそび」より。
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