コラム ダイバーが描いた絵本

~絵本作家になったダイブマスター ももちゃんからの手紙~
絵本『うみのおさんぽ』 出版のお知らせ

 私の創った絵本が発売される事になりました。

 伊豆の海でダイバーになり、潜る海はいつも伊豆の海。大好きな散歩道を繰り返し何度も潜って楽しんできました。そしてその感動や喜びを、ごく自然にお魚のクラフトで表現してきました。もう10年以上前から続けてきたことです。

 パパラギでタケちゃんのダイブマスターコースを受講した事がひとつのきっかけになり、「ももちゃん」として『パパラギしんぶん』や『海の中から地球が見える』の本の中でも、取り上げて頂きました。
そしてこの度、15年間勤めた幼稚園教諭の経験を生かし、絵本製作に挑戦する事になったのです。

 私の創ったお魚クラフトは、保育室の壁面をはじめ、伊豆海洋公園、地元の図書館、福祉センター、老人ホームなど様々な場所で「壁面装飾」として展示して頂いていたのですが、ある時、その展示物を見た漫画家の『鳴島 生』さんが「絵本を創ったらいいですよ」とご自身が使用していた漫画用の原稿用紙を持って訪ねてきて下さったのが絵本製作のきっかけでした。鳴島さんは、『手塚 治虫』さんのアシスタントで『鉄腕アトム』のキャラクター以外の作画を担当されていた方で、その後、漫画家として活躍されました。「まずは枠の線を書いて……」親切な鳴島さんは、簡単な練習作品から作るよう勧めて下さいました。

 偶然にもラッキーな出会いが、私はとても嬉しくて楽しく作り始めました。3年前の秋の事でした。しかし、翌年の春、作品の完成を見ることなく鳴島さんが急逝されてしまい、私はショックでしばらくは原稿に向かえずにいました。
そんな時に、暖かい言葉を贈り、絵本の製作を最後まで続けるように励まして下さったのが、私の海の先生である武本インストラクター(タケちゃん)でした。いつも多忙な中でも相談にのって下さり、今回の出版も誰よりも喜んでくれて、多くのアドバイスと協力をして下さいました。
「この原稿は鳴島さんからの”命のバトンタッチ”だから作り上げて誰かに見てもらおう!」丁度、新聞で募集していた『第23回 新風舎出版賞』に応募しようと思いました。そして、7千点近い応募作品の中から『奨励賞』に選んで頂き、出版を実現させることが出来ました。すべての出会いに感謝しています。

 海に差し込む光の筋にいざなわれて潜行していく自然を相手にした命懸けの遊びが始まる緊張感から、やがて眼前に広がる夢のような世界。その美しさに魅了されながらも注意しながら進んでいく散歩道。重力から解放され、鳥のように飛び、魚のように泳ぐ浮遊感や感じたままに手を振り踊る私のダイビングの様子を素直に綴った一冊です。

 海からもらった”癒し”や不思議と湧き上がる”喜び”が、読者の方々にも伝わったら嬉しいのですが……。
文章を極力少なくしたのは読む人が自由に受け止め感じて楽しんでもらえたらと願ったからです。そしてこれからも、色んな表情を見せ、刻一刻と変わる海の中を、様々な海の生き物達の姿を通して描けたら……という思いでいっぱいです。

 『海の中から地球が見える』というタケちゃんの言葉。本当にその通りだなって思います。意識は保護の始まり……!!
「自然破壊だ」「環境汚染だ」「温暖化だ」と、少しずつ進みつつある環境の変化を異常気象などから身近に体験するようになってきた今日この頃。私の表現は絵本ですが、同じ思いです。

 


 

まもりたい きれいな海。 いのちの輝きが元気をくれます。
海の世界へようこそ。読んでいるだけで海にいる気分になれる、心が落ち着く癒し絵本
新風舎『うみのおさんぽ』
たまき もも

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