学校教育プログラム

学校教育プログラム

教室を飛び出して海へ行こう


NPOパパラギ"海と自然の教室"では、学校での総合学習授業や野外活動の担当をさせて頂いています!

海というフィールドで出会った子どもたちのとびっきりの笑顔は、私たちスタッフに沢山の元気をくれます。
ここに、これまでの主な開催例をご紹介いたします。

【小学校 シュノーケリング教室】
2004年~2010年定例 鎌倉 材木座海岸にて:

小学校4年生以上の児童を対象に、水中メガネ、スノーケル、足ヒレの3点セットを装着して、海中生物観察を楽しみます。

シュノーケリングでは、児童4名に対し指導者1名が付き、安全や一人ひとりの様子に十分に目が届くように配慮して進めます。

初めての体験でも安全に楽しく海中観察ができるよう、マスク、シュノーケル、足ヒレ(3点セット)の使い方の基礎レッスン中心の内容です。

1回に実施できる人数には制限があるものもありますので、1グループもしくはいくつかのグループに分けて時間差をつけて、陸と海のプログラムを組み合わせての実施が可能です。

陸のプログラムとして、同じ浜辺で海岸生物の観察をします。
鎌倉材木座海岸のタイドプールは、波の影響もなくとても穏やで、潮溜りの中をちょっと覗いてみると、ヤドカリ、エビ、ハゼ、イソギンチャクなど・・・身近な海にもこんなにも多くの生物が生息しているということを体験して頂けます。

見つけた生物をじっくりと観察して、スケッチをしたり、図鑑で調べたり・・・じっくり観察した後は、元にいた場所に生物を返します。

スノーケル基本レッスン

マスクのつけ方、シュノーケリングのくわえ方等、
一人ひとりに目を配ります。

小学校グループ

初めて着るウェットスーツ姿、みなさん決まってますね!

潮溜りの生物

潮溜りには沢山の生物が! 子供達は本当に観察の達人です。

【小学校 1泊2日 シュノーケリング&海洋自然教室】
2004年~2010年定例 富戸・ヨコバマにて:

伊豆の城ヶ崎海岸にて1泊2日の海洋自然教室を開催しています。

1回に実施できる人数には制限があるものもありますので、1グループもしくはいくつかのグループに分けて時間差をつけて、陸と海のプログラムを組み合わせての実施となります。

伊豆の透明度が良い穏やかな海では、 南の海から海流に乗って流れ着いた色とりどりのトロピカルフィッシュたちにも出会うことができます。

陸のプログラムでは、城ヶ崎海岸や大室山を散策して海と山のつながりを知ることができます。他の森にはない、海の効果も期待できます。

夕食の後は、パパラギ伊豆店のレクチャールームにて、イルカなどの海に生息する生物を中心とした身近な自然や環境問題について、映像を見ながらみんなで考えてみるプログラム 「海の授業」を行います。
こちらはグループ毎にリーダーが付き、それぞれが意見を出し合って進める参加型のプログラムです。

NPOパパラギ

まずは浅場で、道具の使い方など基本的なレッスンをします。


伊豆での

NPOパパラギ

海の授業風景では、児童の皆さんからの声が
たくさん寄せられました。

【中学校 海岸生物観察授業】
2006年~2010年定例

中学校における総合学習として、海岸生物観察授業を担当させていただいています。

海岸生物観察とは、大潮の日の干潮時に出来る潮溜りで行う生物観察のことで、潮溜りの中をちょっと覗いてみると、様々な生物が生息していることがわかります。
"身近な海岸にもこんなにも多くの生物が生息しているんだ!"ということを体験していただけます。
例えば江ノ島の海岸では、あまり知られていませんが、たくさんの魚やウミウシ、貝の仲間などを気軽に観察できます。

観察フィールドは、鎌倉の材木座海岸、江ノ島海岸、真鶴海岸の3箇所です。

海の近くで暮らしていても、海や海の生物については知らないことが多いものです。
授業では、知っているようで知らない潮の干満の仕組みや、海で遊ぶ際に注意しなければいけないことを学び、また、少人数のグループごとに分かれて、実際に磯で見つけた生物の観察をして名前を調べたり、インストラクターが解説を行います。

なかなか普段海へ足を運ばないという生徒さんも多く、最初は尻込みしている生徒さん達もいますが、段々と海に慣れてくると、身を乗り出して積極的に観察するようになります。

身近な海にも意外にたくさんの生き物が棲んでいるという事を知る体験は、 地元の海を見直す良い機会になるのではないかと思います。
また、たくさんの生き物が住むこの「宝の海」を守っていきたい!と環境問題について考えるきっかけにもなりたいと考えています。

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海岸生物観察授業

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【中学・高等学校 2泊3日 シュノーケリング&自然観察】
2008年~2010年定例 富戸・ヨコバマにて:

東伊豆城ヶ崎海岸エリアにて、 慶應義塾湘南藤沢中・高等部 理科部の夏季合宿が行われ、 海と自然の教室で担当させて頂きました。

 日中シュノーケリングにて生物を観察した後の座学では さずがに理科部の生徒の皆さんだけあって生物への興味も 深く、活発な意見が交わされていました。

 また、最終日にはいつもお世話になっている伊豆の自然ガイド の皆さんの案内で海と陸との関係を実感して頂く為に、 城ヶ崎ピクニカルコースの散策も実施しました。

  城ヶ崎の海と山を五感を使って存分に満喫して頂いた3日間 でした。

NPOパパラギ

シュノーケリングでの生物観察は楽しい!

NPOパパラギ

地元ガイドの皆さんならではの解説に、
皆さん感激されていました。

【高等学校 総合学習授業 スキューバダイビングコース】
2006年~2010年定例 富戸・ヨコバマにて

高等学校での総合学習授業の一環として、スクーバ授業を開催・担当しています。

たとえば、和光高等学校においては2年生から幅広い分野にわたって設置されている選択教科の中から、自分の興味・関心に応じた組み合わせを選択しての授業があります。
2年生では選択授業ごとに研究旅行があります。

研究旅行の中で、選択授業「海洋研究」のコースを選択したクラスが毎年PADIオープン・ウォーター・ダイバー・コースを受講し、Cカードの取得に取り組んでいます。

予備講習として、学校のプールでのシュノーケリングレッスン。
続いて教室での学科講習(計4時間)では、ダイビングの基本知識やスキルのレクチャーを行います。
分からない部分は、理解できるまで何度でもご説明いたします。
学科の段階から、ダイビングの基本であるバディシステムを意識していきます。

そして、最後に伊豆への研究旅行で、プール講習および海洋実習を3泊4日の日程で行います。

そこで、NPOパパラギ"海と自然の教室"では、この研究旅行を担当するにあたり、スタッフの中から看護師資格を持つスタッフや保育、教育などを学んだスタッフ、自然解説指導員の資格を持ち解説を担当するスタッフを募り、ダイビング講習では、生徒4名に対しインストラクター1名がつき、安全を最優先して担当します。

この研究旅行のねらいは、

  • (1) 世界最大のダイバー教育機関である発行のCカード取得に必要なダイビング理論学習を徹底し、 全員が安全にダイビング出来るようにする。
  • (2) 限定水域(今回の研究旅行では、プール)ダイブを通じて、スクーバ・ダイビングの基礎技術を取得する。
  • (3) 富戸ダイビングスポットにおける4回のオープン・ウォーター・ダイブ実習において、Cカード取得に必要な基礎技術をマスターする。
  • (4) オープン・ウォーター・ダイブ実習を通じて、海底地形、海中の動植物などの観察を行う。
  • (5) 授業で学んだ波浪、うねり、潮流、海流などについて観察する。
  • (6) 次のような見学、実習も行う。
    • ・定置網の見学:漁具と資源保護との関係を学ぶ。
    • ・漁港魚市場見学:水産物の流通について学ぶ。
    • ・城ヶ崎散策:植生を観察し、黒潮の影響を学ぶ。
    • ・大室山散策:富戸~城ヶ崎の海岸線地形が形成された歴史を学ぶ。

(和光高等学校 海洋研究 研究旅行のしおりより)

というもので、「海洋研究」のコースを選択した生徒の皆さんが、これまで学習してきた事をこの研究旅行で生かしながら、海洋実習に臨んで、全員がCカードを取得して、ダイバーに認定される事が主な目的です。

NPOパパラギ

学校の教室での、オープン・ウォーター・ダイバー学科講習。

<研修旅行1日目>

1日目は、伊東市内にあるダイビング専用プールでの限定水域講習です。生徒4名に対しインストラクター1名が付き、指導にあたります。

プール講習では、学科講習で学んだ知識を実践します。
浅羽で器材や水に親しんでから、水深5mの場所で本格的なスキルの練習をします。
この講習でのポイントは、器材のセッティング方法や基本スキルをマスターすることです。

夕食の後は、学科講習の復習と最終テストをします。
プールの疲れもなんのその。現役の生徒の皆さんだけあって、ぺーパーテストにも、それぞれ真剣に取り組んでいました。

NPOパパラギ

最大水深が4mあるダイビング専用プールでの限定水域講習

NPOパパラギ

なごやかな雰囲気の中にも真剣さが漂っています。

<研修旅行2日~3日目>

2日目からは、いよいよ海での実習です。
フル装備をつけて、いざ海中へ。

規定の4ダイブの中で、それまでに学んだ知識やスキルを実際の海で復習しながら応用します。
穏やかな海域や潮まわりの日に行いますので、リラックスして受講していただけます。

安全に配慮し、少人数のチームに分かれて実施します。

NPOパパラギ

皆で頑張るぞ! オ~!!


2日目の夜は、富戸漁協にご協力を頂き、定置網漁法についてのお話を伺います(担当講師は、富戸漁協定置網漁法漁労長の秋元さんで、なんと秋元さんは元パパラギのスタッフインストラクターです)。

普段、定置網を目にする事はあっても、どのような仕組みになっているのか解らない方が多く、興味深い経験になります。

NPOパパラギ

漁労長の秋元さんは、元パパラギのダイビングインストラクターでした。

NPOパパラギ

富戸・ヨコバマ沖の定置網の図

<研修旅行4日目>

最終日は、城ヶ崎散策です。
午前中は、ボラ納屋~伊豆海洋公園までの"城ヶ崎ピクニカルコース"を歩き、海と自然の教室スタッフで日本自然保護協会、自然観察指導員の資格を持つスタッフが、海岸林特有の生態系について解説します。
また、海の側まで緑が迫っている事でのメリットなどを、観察の中で見つけていきます。

その後、大室山に登り、大室山の噴火で形成されたリアス式海岸である城ヶ崎海岸の全体を観察します。

海岸林を構成する植物の葉の厚みを触って実感します。

和光高校 ダイバー認定

ダイバーの仲間入りです!!


2010年の和光高等学校での総合学習授業(スクーバダイビングコース)では、写真家の中村征夫さんを迎えて授業の締めくくりました。

和光高校2010年

【大学実習 シュノーケリングインストラクターコース】
2006年~2011年 定例

NPOパパラギ"海と自然の教室"は、東海大学教養学部人間環境学科の専門科目「環境体験演習」の実習を2001年より担当しています。この体験演習という授業は、その名の通り座学だけではなく学生本人が学外に出て体験・学習するフィールド学習型体験授業となっています。

2001年度より担当している実習、『NPO体験・環境教育とNPOを考える』では、例年海岸生物観察会や、シュノーケリング教室に学生達がボランティアとして参加、一般の参加者の方と触れ合うことで、私たちのようなNPOが社会に対して与える影響を実感してもらうことを主としています。 

環境教育の現場を体験するだけではなく、実際に体験型環境教育の指導員としての知識・技術・そしてリーダーシップを身に付けることができるようにと、海岸生物観察会のような野外活動を行う場合に必要な、インタープリターとしての素養を身につける『野外活動観察指導員コース』と、安全に海を楽しみ正しい技術指導と自然解説のできる、インストラクターとしての素養を身に付ける「シュノーケリングインストラクターコース」にわけ、実習の内容をより実践的な内容に大学と連携して挑戦しています。

インタープリターコースでは、鎌倉・江ノ島での観察会の運営と共に、履修学生には『野外活動指導員養成講座』を受講してもらい、参加されている一般の方への説明や解説のスキルを身に付けることができます。

また、シュノーケリングインストラクターコースでは、伊豆・城ヶ崎海岸での4日間の集中実習の中で、救急法(EFR)の取得に加え、シュノーケリングインストラクションや安全管理についての講義を受け、最終日には実際に一般参加の方のアシスタントを行います。

どちらのコースも、実習を終えた学生はみな現在の自分を取り巻く環境問題に対して、独自の問題意識を持つようになります。

体験型環境教育は、自然共生社会そして持続可能な社会の確立の手段として、最も注目されているアプローチの一つです。

2004年10月に環境教育推進法が施行され、政府も環境教育を励行していますが、実際の現場では指導者の不足等、様々な問題がまだ残っています。
今年度実習に参加した学生達の、今後の環境教育・環境活動・研究活動での活躍が楽しみです。

一日目は、伊豆海洋公園のプールで基本をしっかり身につけました。

2日目からは、海での実習です。

シュノーケルインストラクター認定書

4日間の集中実習を終えて、シュノーケリングインストラクターに認定されます。

裏方としても大活躍!日除けテントの設営も、彼らの手に掛かれば何と5分で完了!


【担当教授】

内田 晴久 教授

内田晴久教授

東海大学教養学部人間環境学科自然環境課程所属。
ドイツ シュツットガルト大学化学科出身。
有限資源の有効利用、循環型エネルギーシステムの実現、
技術と資源・環境との調和が研究テーマ。
その昔は伊豆海洋公園で鍛えられたダイバーです。

【担当講師】

松本 行宏

松本 行宏

NPOパパラギ"海と自然の教室"代表
PADIインストラクター
EFRインストラクタートレーナー
日本サンゴ礁学会会員


・・・
第31回日本環境学会研究発表会口頭発表予稿原稿

内田晴久、藤野裕弘、隈本純、勝又壽良、北野 忠、室田憲一、藤吉正明、武本匡弘*
東海大学教養学部人間環境学科、*NPO法人パパラギ海と自然の教室
〒259-1292神奈川県平塚市北金目1117 hhuchida@tokai.ac.jp


1.はじめに

持続可能な発展を可能とする上で、環境教育への期待は大きい。ベルグラード宣言、トビリシ勧告に続き、テサロニキ宣言においては、環境教育のあり方から、その実施の意義までが議論され検討されてきた(1)。さらに持続可能な発展を可能にするための環境教育を、いかに実際の教育現場で具体化していくか様々な機関において色々な取り組みがなされてきている。自然環境を意識し、体験し、興味を持たせ、経験を通して知識を増やすとともに、専門性を深め、受身の態度から自主的にかつ積極的に環境の保全にかかわっていくことを目的とし、そしてそれを高等教育レベルでどのように実現し、社会に対してどのような人材の輩出につなげていくべきかを検討することは重要な課題である。 こうした背景の下、本講演では、これまでの一連の環境教育への取り組みを具体化する一例として、本学における専門科目である「環境体験演習」にて、環境教育を目的として掲げるNPO法人との協力体制のもと実施している環境教育事例について報告する。


2.NPO法人パパラギ海と自然の教室

協力体制にあるNPO法人パパラギ海と自然の教室は、神奈川県で最も早く1999年に認定され、神奈川県藤沢市を中心に活動しており、その母体はスキューバを中心とするダイビングショップである。レジャーダイバーのためのダイビングショップで活動するインストラクター達にとって、少なくとも30数年来の経験から、海の中の状況変化は身近な問題となってきている。最近では、サンゴの生育分布の変化のみならず、観察される魚種の変化も含め、静かながらも確実な温暖化の影響を見ることができる。そして廃棄物の散乱も含め、人間活動の影響を自然と直接対比しながら意識する場としてのダイビングが環境教育を目的としたNPO法人設立の原動力となっている。現在、会員数およそ420名、ボランティア140名を抱える法人組織となっており、海岸生物観察会やシュノーケリング教室の開催、学校教育における訪問出前授業、子供や一般社会人に対する環境保全のための啓発活動等、年間を通じて数多くの行事を実施している。母体のダイビングショップは、関東を中心に、9ショップ、海外に1ショップを有し、他のダイビングショップとも連携をとりながら活動を展開している。こうしたネットワークそのものも、NPO活動にとっては安全面での危機管理や人材および機材の融通が容易にできるというメリットとなっている。


3.実施概要

東海大学教養学部人間環境学科では、2001年度に大幅なカリキュラム変更を行い、自然科学と社会科学を融合させた学際領域として、「人間環境領域」を構築した。人間環境領域で開講されている科目は、それぞれの教員の専門分野における重要な事項や最先端の事項について、それらの専門を専攻していない学生にも十分理解できるように工夫された授業が行われており、いわゆる「理系」「文系」の区別なく、より学際的な視点で問題を認識し、解決策を考察できるような科目履修が可能になっている。 人間環境領域の柱となる科目として、「環境学序論」、「環境基礎演習」、「環境体験演習」および「環境専門演習」がある。その中で「環境体験演習」は、学外で様々な体験をすることにより、自らの五感で問題を認識し、それらの問題解決に向けた考察をするものである。設定されているコースは、大学が所有する海洋調査研修船「望星丸」を用いた海洋環境調査、里山の休耕田を利用して稲作を行う農業実習体験、環境教育を目的としたNPO活動におけるボランティア体験、様々な里山の自然を観察する身近な自然観察、廃棄物処理に関する現場見学、介護施設でのボランティア体験等である。 NPO活動におけるボランティア活動体験では、90分3コマの座学に続き、海岸生物観察会、シュノーケリングによる海洋観察、セミナー・講演会等を中心とした活動におけるボランティア体験を4日以上、そしてNPO事務局における実習を加え、途中および学期最後に討論を中心とした学生同士の意見交換会、レポート作成を行うこととしている。開講は年一回春学期(4月~7月)であるが、実習は8月中にも行い最終講義は10月初旬としている。


4.実施の効果

環境教育としての初期段階である実体験と興味関心の醸成にとって、海岸生物観察会もしくはシュノーケリングは、特に学生にとっては非常に有効であり、例え自然環境に対する意識が低いとしても、海岸海中の生物を観察していくことが中心となるため、自ずと知識を増やすきっかけとなる場合が多い。キャンパス内での座学では、専門知識を深めようとも体験を通じて持った興味ほど強い勉学に対するインセンティブはないものと思われる。 NPO活動にとってボランティアの役割は大きく、ボランティア自身の行動そのものが、自然観察会等への参加者に対する自主的かつ積極的な環境保全へ向けた行動となる。生物観察会では、参加者よりもより詳しい知識を有していることが望ましく、数回のボランティア参加を通じて、説明すべき事柄の重要性が身に備わってくると考えられる。 NPO法人の活動自体は、非営利であるものの、会計上の採算性がなければ組織として独立し得ない。それゆえ、事務局での活動も含め、いかに参加者に魅力的な行事を企画し実行するか、運営そのものを体験することもまた学生にとっては非常に大きな体験となる。事務局実習の一環として、将来自分がNPO法人を立ち上げることを仮定したプランを発表させることで、より具体的な活動のあり方と取り組み方、さらには可能性についても専門の立場からの助言を得ることが可能となる。もちろん、提案内容の良い企画に対しては、実現できる可能性も含まれ、学生にとっての実社会体験としての意義は大きい。 生物観察会あるいはシュノーケリング教室といったフィールドワークを実施するうえで最も大きな課題となるのが危機管理であり、参加者の安全の確保である。一般の大学の講義や実習では予期した事態に対してそれなりの準備がなされているが、フィールドワークでは専門家の協力は欠かせない。環境教育の実体験を授業の一環として行っていく上では、ダイビングショップを背景とし、日夜安全確保を最優先している専門家集団の協力を得ることのできるNPOとの協力関係は必要欠くべからざるものであるといえる。 視点を転じて、NPO側からの利点としては、より多くの学生が参加することで、ボランティアの安定的な確保が可能であり、さらに大学との協力活動として、NPO活動の社会へのアピールともなり、その意義は大きいものと考えられる。NPO活動は、ボランティアとともに行事参加者に対して、環境問題への取り組みを促すものであるが、ボランティアに対しても環境教育としての意義は大きく、NPO本来の自然環境に対する社会の意識高揚という目的を果たすための効果的な手段になっているともいえる。


5.課題と展望

NPO法人パパラギ海と自然の教室と協力して実施してきた体験型の授業である「環境体験演習」は幸いにも大きな事故もなく現在、5年目を迎えている。履修学生からの評価は他の講義科目等よりも高く、参加した学生の満足度は高いものと推察される。しかし、当初の目的がどの程度達成されているか、今後しばらく継続しながら学生の卒業後の進路等を踏まえた検証が必要であると考えられる。 体験実習の実施にあたっては、海岸生物観察やシュノーケリングは、短時間での活動は不可能であり、少なくとも終日、場合によっては宿泊型の体験授業となる。それゆえ、土曜日もしくは日曜日、あるいは夏季休暇中の実施が多くなるものの、そのための時間を学期中にいかに確保するかが学生および担当教員にとって大きな課題となっている。さらに、NPO側の行事日程は多く用意されているものの、その中からいずれの日程を学生が選択していくか、計画の策定と調整においても担当教員が間に入り各学生と頻繁に連絡しなければならないことも煩雑な作業となる。 この他、フィールドワークにおいて共通している天候の影響、必要経費の確保なども実施する上での障害となる可能性を有している。 机上の知識のみならず実体験を通じた興味付け、および主体的活動は、環境教育のみならず他の分野においても有効な教育の手法であると考えられる。特に環境教育においては、海を舞台とした活動は若者の興味を強く引きつける要素を持っているものと考えられ、生態系理解への入り口として有効な具体例であると考えられる。


6.参考文献

(1)例えばUNESCO, 1997a Final Report, International Conference on Environment and Society: Education and Public Awareness for Sustainability, Thessaloniki, Greece, 8-12 December 1997, EPD-97/.CONF.401/CLD.3 この他The Global Development Research Center (GDRC) http://www.gdrc.org等にもこれまでの経緯がまとめられている。
(2)室田、藤野、内田、藤吉、廣瀬、落合、NPO自然塾丹沢ドン会、日本環境学会第29回研究発表講演資料(2004)

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